1万人、警察と衝突 中国内陸で8月 少数民族、土地強制収用に抗議

1万人、警察と衝突 中国内陸で8月 少数民族、土地強制収用に抗議

 【北京=共同】中国内陸部の寧夏回族自治区で今年八月、市庁舎建設に伴う土地の強制収用をめぐり地元政府に抗議したイスラム教徒の少数民族回族の農民ら一万人以上と武装警察部隊などが衝突、双方に計約六十人の負傷者が出ていたことが二十八日までに関係者の話で分かった。共同通信が入手した事件当時のビデオ映像は抗議する農民を警察が拘束する緊迫した状況を映し出している。当局は衝突について報道を規制、中国国内では報じられていない。 
 抗議に参加した回族の地元関係者によると、事件が起きたのは同自治区固原市。八月一日、建設中の新庁舎前にある約三十三万平方メートルの農地をめぐり、回族漢民族の農民らが同庁舎前に集まり、収用を阻止しようとした。
 当局は武装警察などを大量動員。ビデオ映像では、当局側の人間に土をかけて抵抗する女性や、警察が男性を拘束し農民らとにらみ合いになる場面が映し出されている。関係者によると、その後、別の地区の住民も加わり一万人以上の大規模な衝突に発展。当局の車両数台がひっくり返され、計約六十人が負傷、重傷者も数人いたという。
 衝突はいったん収まったが、警察は今月、抗議行動の中心となった六人を拘束。回族と同じイスラム教徒の中央政府幹部も回族の有力者に「抵抗の中止」を指示してきたため、農民らは「再び土地収用の動きが強まるのでは」と警戒している。
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 【用語解説】回族
 中国でイスラム教を信仰する少数民族の一つ。唐や宋の時代に渡来したアラブ人らが起源とされ、2000年時点で全国に982万人が居住。土着化が進み現在は中国語を話すが、独自の風習を保持している。寧夏回族自治区は1958年に成立。自治区人口の3割以上が少数民族とされる。
産経新聞) - 12月29日2時31分更新